第1275話 ■シムソンズ

 トリノオリンピックでの女子カーリングチームの活躍で話題になった、彼女たちをモデルにした映画である。上映の残りもあと2日ということで、会社の帰りに見た。

 実に良い映画だ。涙あり、感動あり、もちろん笑いあり、そして全編を貫く彼女たちのはつらつとしたすがすがしさ。青春スポ根というアウトラインのはずだが、彼女たちの楽しむことを第一に心掛けている。

 北海道の常呂町はホタテと玉ねぎ、それにカーリング(これらしかない)の町である。このまま一生この町で暮らして行くことに不満と閉塞感を抱いて高校生活を送っている和子。彼女はあこがれの先輩の誘いにより大会出場を目指し、カーリングを始める。そのメンバーとしてクラスメイトの3人を加えて、シムソンズの誕生となった。

 目的の大会では1点も取ることできず、初戦敗退。大会までの条件で受験や家の手伝いをやり繰りしてきたメンバーにも不完全燃焼によるわだかまりは収まらない。和子の「このままやめたら一生0点だよ」という説得で、「1点取ろう」と再起を掛けるメンバー。このあたりは「がんばっていきまっしょい」や「スウィングガールズ」に相通じるものがある。

 しかし全てがうまくいっては話が面白くない。待望の1点は取れたものの、それが反則(ストーンを投げる際、手を放すタイミングが遅かった)によるものであったことで、チームは仲違いし、分裂する。そこにコーチの過去がオーバーラップしてくる。

 やがて、仲直りする彼女たち。そして、必死の練習の甲斐あって彼女たちの上達は著しい中、北海道大会の日を迎える。念願の1点どころか、初勝利、それに次々に勝ち進み、決勝戦まで駒を進めた。勝つことへの執着よりもお互いを信じ、伸び伸びとプレイする彼女たち。実にすがすがしい。そして決勝を迎えた。

 全編ポジティブ。元気の出る映画だった。

(秀)