第1361話 ■バッシング

 同じリングの上でやるものだから、私は、プロレスとボクシングを同じカテゴリーに分類していた。プロレスと言えば、外国人レスラーによる卑劣な反則攻撃と流血。外国人レスラーはヒール(悪役)として、自らのパフォーマンスを示す。

 一方、ボクシング界のヒール、亀田一家。彼らはリング上の悪役だから、先日の大毅の世界戦での反則攻撃を見ても、私はそれほど驚かなかった。そんなことぐらいやるヒールにしか私には思えていないから。たとえ、レスリングのように相手を2度投げ飛ばしたとしても。

 先日の世界戦で、彼の負けを私は喜んだ。別に反則の有無に関わらず、彼は負けていた。実に反則以外、何ら華のない試合だった。ところが、翌日になってからか、周りは大騒ぎで亀田バッシングを始めた。反則したからバッシングなのか、例えそれがなくても、「ざまあみろ!」のバッシングが起きたかどうかは分からない。ただ、反則行為は絶好のバッシングネタとなったことは間違いない。

 JBC(日本ボクシングコミッション)も慌てて処罰に動いた。けど、そんなに騒ぐくらいなら、あの試合は判定ではなく、反則負け・失格にすべきだったと思う。なんか大衆の顔色を見ているところが、気に入らない。スポーツ界はこのニュースであふれ、時津風部屋問題が一線から消えた。

 先日、ブログにも書いたが、私は亀田一家が大嫌いだ。これは彼らを初めて見たときから終始変わらない。今回の騒ぎで、私と同じように亀田一家を嫌っている人が多いことに改めて気が付いた。これまで外国人相手に対してだけ戦ってきて、同邦人の情からか、亀田を応援している人がいたに違いない。不遜だけど強い(ように見える)。

 かつてから、私はただ彼らが負けるのを見たくて、試合をテレビで見てきた。同様の意識の人がどれほどいたか知る由もないが、視聴率が高いことが、日本人の亀田を応援しているかのように伝えられてはいなかったか?。試合の実況が亀田贔屓だったのは紛れもない事実だ。しかしこれらは、あるテレビ局が作り出した虚像であり、それに他のマスコミも追従し、当事者亀田一家は勘違いをして、増長した。それが一転、手の平を返したようにバッシングに走る。さすが、あのテレビ局はそこまではできないようだが。

 さて、大衆は亀田一家の誰に怒っているのか、親父か、大毅か。まだ処分が甘すぎるという意見も多いようだ。そんな中、親父と大毅が謝罪会見に姿を見せた。但し、大毅は一言も話せなかった。こんなことで、世間が彼らを許すとは到底思えない。せめて、坊主頭で反省の意を表しているかのようだが、弁慶を自称するなら、坊主頭の方が自然だ。ヒールがヒールでなくなったら、それはそれで面白くないもんだ。

(秀)