第1458話 ■ゴワゴワ

 先日の休日、電車の中での出来事。この日は、いつもの休日よりは多くの人で車内は混んでいた。そこで私の目の前にいた、ある家族の会話が始まった。「僕の髪硬くてゴワゴワなんだよね」。そう言ったのは小学1年生ぐらいの男の子だった。「そうねえ、うちの家族で髪の毛が硬いのは○○ちゃん(伏字)だけねえ。誰に似たのかしら?」と、母親が応じ、さらに続ける。「ほかは皆髪の毛細いしね」。やがて私の視線はその家族の父親の頭部へと移った。

 「うちのおじいちゃんも柔らかい髪の毛だったし、お父さんの方はどう?」。母親の方は止まらないご様子。しかし、父親はこの会話が始まったときから黙ったままである。おいおい、この家族にはタブーというものがないのか?、しかもこんな大衆の面前で。

 その親父は禿げていた。ツルピカではなかったが、友人や同僚なら、ましてや会社の上司とあらば絶対に口にしてはならない状態であった。

(もし、不愉快な思いをされた読者の方がいらしたら、御免なさい)

(秀)