第495話 ■派遣さん

 うちの会社にも何人かの派遣社員の人がいる。テレビのコマーシャルで盛んに人材派遣業のCMを見るが、藤原紀香のような人はいない。彼女たちの就労動機はほぼ2パターンである。1つはお金を稼ぎたい人。半年間一生懸命働いて貯金して、あとの半年を語学留学して過ごす人などもいる。そして、もう一方は世間の目を気にして働きに出ている人である。

 後者の例ではそもそも家が金持ちで、本来は働く必要なく、家事手伝いを経て結婚すれば良いのだろうが、この家事手伝いというのが、世間的に良くないらしい。かと言って親のコネで働くのに抵抗がある人が派遣業に登録し、その一部が私の周りで働いていたりする。前者か後者かは服装や持ち物を見ればすぐ分かる。何しろ、後者は自分の稼ぎ以上におしゃれに金を掛けていたりする。

 まず最初に紹介したい、A子さんの場合。4人家族で、家に4台、車がある。相当な敷地のはず(月極駐車場でない限り)。ちなみに本人の車はBMW。「BMWの何ていうやつ?」と聞くと、「分からない。お兄ちゃんが前乗っていたのをもらったから」。本当に本人は車には興味がないらしい。「じゃあ、お父さんの車は?」。「ベンツ」。「ベンツの何?」。(また愚問だったかな?)。「よく分からないけど、ダイアナさんが乗って(いて事故にあった)いたのと同じの」。あの事故直後、本当に車を買い直そうかと、お父さんは悩んだらしい。

  ・・・・つづく。

(秀)