第509話 ■問題教師

 随分と時間が経ってみると、怖かったり、ちょっと変な先生の方が懐かしく思い出されるものであるが、何事も度を過ぎてしまうと元も子もない。そんな事件の話。金曜日の夕方にニュースのサイトをインターネットで見ていたら、「校長はねた『金髪先生』のあきれた行状 無断欠勤、自主遠足、卒業式妨害…」という記事があった。48歳になるこの小学校教諭はこれまでの教師生活25年に様々な蛮行を行って来た。その処分の数、50回。そこに掲載されていた写真は文字どおり「金髪先生」であった。

 籍はこの小学校のままだったのだろうが、この教諭は、今年の2月から千葉市の県総合教育センターでの研修という形で現場からは隔離されていたようだ。にも関らず、毎朝学校に立ち寄っており、そんなさなか、今回の事件は起きた。この日、同校の校長がこの教諭に関する週刊誌の記事の件で、「確認したいことがある」と呼び止めたところ、「約束はしていない」と車に乗り込み、制止する校長に、車の屋根に付いた拡声器で、「車の交通妨害をするな!そこをどけ」と叫び、無理やり車を発進させ、校長にぶつかったという。これは事故ではなく、傷害事件である。

 「今までの行動では、懲戒解雇にするには内務規律からは難しい状況にあった。本人の意思にかかわらず、処分できる分限免職も県教委と協議は続けてきたが…」というのが地元の教育委員会の言い分である。全児童戸数105戸のうち、100戸からこの教諭を辞めさせてほしいという嘆願書が出ていて、こんな有り様である。少子化の影響で年々教員の採用が減少する一方で、こんな教師が現場から外されていたにも関らず、給料をもらい続け、その身分が保障されていたことに腹が立つ。民間企業のリストラ振りを見よ!。

 同じ千葉県内の小学校でありながら、しかも、PTA活動に関わっていたにもかかわらず、私はこのような問題教諭の話をこれまで聞いたことがなかった。けど、この小学校の戦い方は間違っている。署名や嘆願書では手ぬるい。私なら、全児童の登校を止めさせ、一斉ストライキを仕掛ける。しかも、あらかじめそれを予告し、その声明を市長、市教育長、市議会議員、県教育長、そしてマスコミ等に発表しておく。ついでに当日は児童達を連れ立って、市役所に押しかけるのも良いかもしれない。少なくとも誰かの責任問題になるだろう。敵はこの問題教師だけでなく、このような不適格者をそのままにしている側の責任も問うべきである。

 さて、はねとばされる前後のこの校長の心理を探ってみよう。まさかはねられるとは思いもせず向かって行っての結果なのか?、それともはねとばされることも予期して向かって行ったのか?。もし、後者だとすると「そういう手もあったか」と思わずにいられない。学校を舞台に傷害事件を起こし逮捕された者を引き続き教壇に立たせるわけにはいかないだろう。いずれにせよ、この校長は自らの身を挺して事態の収拾を果たしたのである。「偉いぞ、校長!」。

(秀)