第664話 ■望年会

 ミレニアムに世紀末、それに新世紀などと、ここ数年いろいろと慌ただしい年末年始を過ごしてきたわけだが、今回はそんなことも一切なく、ひっそりと穏やかな年越しを迎えそうだ。折りからのテロ騒ぎで海外脱出組も減少間違いないだろう。その一方で、今回はおせち料理の売上が良いらしい。しかも高いものが売れているらしい。デフレスパイラルで購買力は冷えきっているにも関わらず、こんなところで例外が起きている。

 新しいノートをおろすときに、ゆっくりと扉を開いて、開いたノート中央の綴じ部分を手で押さえ、きちんと折り目をつける。そして最初の1ページ目はいつもの10倍くらいの神経を使い、丁寧に字を書いてみる。とても気持ちが良い。今度のノート(こそ)は、きれいに使おうと心に使うわけだが、やがて消しゴムをかけた部分が黒ずんだり、折れ曲がったり(、破れたり)、ボールペンで書いた文字を塗りつぶして消したあたりからこの誓いも揺らいでしまう。

 正月が来るたびに、いろいろと心新たに志を立てたりするも、いつの間にか消しゴムをかけたり、ボールペンで塗りつぶしたような感じになってしまう。最初から数ページだけで放り出してしまったノートが毎年積もっていく気がする。それでも正月がやってくるのはやはりうれしい。これは子供の頃からあまり変わっていない。

 非日常は日常の連続の中にある。来年こそはという願いを込め、この1年がまた早くも過ぎ去ろうとしている。あなたにはどんな1年だっただろうか?。1年の仕事を終え、「望年会」という粋な名前を付けられた飲み会の帰り、新しいノートの色柄を考えてみたりする。

(秀)