第1124話 ■長さんの訃報

 長さんの入院を国民の多くが心配していた矢先、もう一人の長さんも病に倒れ、そして逝ってしまった。前者は長嶋監督で、後者がいかりや長介さんである。最近の彼は既に滑舌も悪く、声も聞き取りにくい状態だった。以前の入院のこともあったので、相当やばい感じが私にもブラウン管から伝わってきていた。そんな矢先の訃報だった。

 長さんの自伝、「だめだこりゃ」を昨年の終わり頃に読んだ。そもそもこの本を書くきっかけは荒井注さんの死だったらしい。「そろそろ、俺も人生のまとめをする時期だよな…」と。それと「8時だョ!全員集合」のDVD化。本人、それに周りにも予感があったのでないかとさえ思えてくる。

 老いて、役者になった彼の姿も魅力的だったが、やはり私たちの年代ではドリフのリーダーとしての彼の姿が一番印象深い。「オィース、声が小さい。もう一度、オィース」。テレビを見ながら、それに応えることはないが、あの会場でそう応えたいと何度思ったことか。メガホンが似合っていた。探検隊の隊長であろうと、先生役であろうと、母親役であっても、メガホンは必須アイテムだった。

 予感はあったにせよ、私にも彼の死はショックだった。気の利いた文章も書けそうにない。ただ、私が言うのも何だが、自伝を読む限り、彼は何ら悔いることなく、人生を全うできたような気がする。いや、そうであって欲しいと願う。そして、自分もそうありたいと願う。合掌。

(秀)