第1134話 ■スイカパソコン

 まだちょっと早いけど、スーパーでスイカの姿を目にするようになってきた。きっとまだそれほど甘くはないだろうが。ただ、その姿を目にするのはうれしい。スイカのあの柄は非常にインパクトがある。形がどんなものであれ、あの柄であれば誰もがそれをスイカの柄をモチーフにしたものだと反応してくれる。たとえそれがマグカップやスリッパであっても。

 かつて私が初めて会社でWebサイトを立ち上げたときの話。ボール(バスケットボールや野球)の半球状のマウスが販売されているのを見て、いっそのこと「スイカのマウスもあれば良いのに」と思った。そしてせっかくならパソコンのデザインもスイカの模様なら面白かろう、と思った。

 かと言って、自分のパソコンを黒と緑に塗り分けるわけにもいかず、それをイラストとしてWebのトップページに飾ることを計画した。古風な家の縁側にスイカの柄の本体とモニタの一体型のパソコンが置いてあり、その横には蚊取りブタ。軒下には風鈴がぶら下がった、これらを3DのCGでWebの制作会社に描いてもらった。

 しかしながら、そのスイカの柄のリアルさがどうも不足している。電話でいろいろとその状況を伝えていても一向に埒があかない。そこで、たまたま帰り道の方角だったので、その会社に立ち寄って帰ることにした。そこは台東区の下町で、途中に丁度、八百屋があり、スイカが並んでいた。

 「冷蔵庫で冷やしてからが良いですよ。でも食べる前にこのスイカの柄の雰囲気をよく見てからね」。私はその八百屋で一玉のスイカを買い求め、差し入れとして持って行った。結局のところ、間もなくスイカは割られて、腹ごしらえをして、その皮を見ながらスイカパソコンのデザインの修正は行われた。実物を見たからか、とても良い仕上がりになった。

(秀)