第1404話 ■半ズボン

 寒い日が続いている。特にここ数日、日増しに朝は寒い。しかし、登校中の小学生の男の子を見ると、半ズボンだったりする。「子どもは風の子」なんて言うが、確かに自分たちも、子どもの頃は、半ズボンが決まりかのように、寒くても2学期中は半ズボンで過ごしていた。寒くないかと言うと、実のところは寒い。けど、感覚が麻痺してきて、あまり寒いとは感じなくなってしまっている。皮膚の表面なんかカサカサになっている。せめても上半身が暖かければ、何とかなっていたが、上も薄着となるとガタガタ震えが出る。けど、クラスの中にそんな時も半そでや薄着で登校して来る双子の友達がいた。

 男子生徒の間に、皆揃って半ズボンといった連帯感が生まれてる。しかし、親は気が気でないし、風邪でも引かれたらたまらないので、長ズボンを勧め、怒りつけてまで長ズボンをはかせる。それに負けて長ズボンなんかはいて登校しようものなら、ちょっとした仲間はずれにされてしまう。おまけにその日は体育があって、長ズボンだけでなく、下に股引なんかはいてきたら、笑いものにされる。子どもは何とも残酷だ。

 私の場合、結局、年が明けた3学期からはあまりの寒さと親からの説得に負け、長ズボンをはくようになっていた。この頃になると、半ズボンと長ズボンの比率は、やや半ズボンが多いぐらいまでに変化する。そして、次第に半ズボン暗黙のルールも小学校高学年になってくるとかなり緩和され、連帯感も薄れた。結構早目から長ズボンをはく子も出てきた。寒いからではなく、ファッションであり、半ズボンが子どもっぽいことへの反抗でもあった。一方、半ズボン派には当時ハイソックスといった小洒落たものが流行り出していた。

(秀)