第1497話 ■刀狩

 会社というところにはいろいろと細かなルールが存在する。まだ小規模で個人の裁量が認められているような場合はまだしも、ある程度大きな組織になると、自由の幅が大きく制限される。そういうことを管理することを仕事にしている人がいる。自由にするとその人の仕事がなくなる。そのためにルールを細かくしているのではなかろうか、と勘繰ってしまう。そしてその強制力は金を媒介としての関係であるため、学校の校則よりも強いと思う。

 一方、会社で支給される文房具は何とも味気ない。ノートは素っ気無い大学ノート、ボールペンは書ければ良いだろうという実質本位。シャープペンもチープな代物だ。それでも何とか事務に必要なものは会社の中のストックでまかなえるようになっている。それらに不満がある人は自分で用立てることもできる。私はジェルインクのペンを使っている。こればかりは譲れない。

 さて、会社で新たな御触れがメールでやってきた。「カッターを回収します」。労災を未然に防ぐためとの記載がある。誰かがカッターでケガをしたのだろう。しかもそれで労災との騒ぎになったのかもしれない。よって、会社で支給しているカッターを回収することになった。私も引き出しを開けるとカッター1本と替刃2枚が出てきた。お召し上げである。

 社内ではこれを「平成の刀狩」と呼んでいる。

(秀)