第1793話 ■落語探偵団

 ここのところしばらくコラムの執筆が疎かになってしまっていたが、この間にちょっと暗躍をしていた。実は、私が仕掛け人となって、現役若手落語家による「落語探偵団」なるユニットを組織した。現役の若手落語家(落語協会所属の若手二ツ目)が探偵となって、各回ごとのテーマに対し、落語の噺の実際はどうであったかなどを掘り下げて調査し、所在地の特定や登場人物のプロファイリング、時代考証などを検証していくWeb企画である。

 メンバーは、
 ・金原亭馬治
 ・三遊亭時松
 ・古今亭志ん八
 ・古今亭駒次
 ・柳家ほたる
 ・三遊亭粋歌
 ・柳家小太郎
の7人。少年探偵団にちなんでこの7人でスタートした。手前味噌だが、なかなか個性的で面白いメンバーが揃ったと思っている。

 月一ぐらいのペースでメンバーにミッションをこなしてもらい、その演目に合わせて定期的に落語会を開催していく予定で、調査を担当した探偵メンバーが口演することになっている。このため、いくら面白い企画があったとしても、そのネタを持って(習得して)いなければ、その回の企画を担当することができない。あるメンバーは「反対俥」という演目をテーマにそのリアル感を獲得するために、実際に人力車を引いてみたいと申し出てきた。浅草あたりで実施すれば、実際に宣伝効果も高く、面白い企画と言える。ところがその発案者自身が「反対俥」を持っていなかった。「稽古に行きます」。この態度が実に気持ちいい。

 まず1回目のミッションとして、「時そば」に「できますのは、『花巻』に『しっぽく』」という蕎麦のメニューが出てくるが、ほとんどの蕎麦屋には無いメニューで、ほとんどの人がどんな蕎麦なのかを知らいないはずなので、それを探し出し、食べてこようという調査取材を実施した。既に、その時の調査レポートをWebで公開している。

 この他に今考えている企画としては、
・「茶の湯」を再現!飲めるか?
・「井戸の茶碗」を探せ!
・「なめくじ長屋」を探せ!
・天狗の足跡と伝承を追え!
・落語の心霊ポイントを検証せよ!
・「黄金餅」の言い立ての起源を探れ!
・昔はそんなに寄席が多かったのか?
・「文七元結」を原作で再現!
・「芝浜」のリアル感を検証!
なんてのを計画している。

 このユニットのポリシーは「テーマに対し、単にネット等で調べるだけにはとどまらず、実際に現地を訪ねるなど、自ら体を動かしての調査を行います」、「落語家の落語家による、けど落語ファンのためのサイトづくり」、「全ては自らの芸道の精進のため。成果は高座で披露します」、「いくら面白そうでも、先輩の噺家や関係者の迷惑となる行為は自粛します」となっている。

 「落語探偵団」で検索エンジンからも検索ヒットするようになった。
 http://rakugo-tanteidan.jp/
 自分にとっては、ここ数年で最も大きなイベントとなった。やっている方もなかなか面白い。いずれメンバーを48人まで拡大し、「RKG48」を結成して、プロデュースするのが夢。

(秀)