第866話 ■リモート

 殺人事件の醍醐味はその謎解き部分にある。冒頭から物騒な話題で失礼。なーに、ドラマの話だ。最初から犯人が分かってしまうドラマはダメだし(一部わざとそういう構成のものは除く)、どうしてそいつが犯人なのかをうまく説明しないドラマもダメである。一時期のカーアクションや派手な銃撃戦で魅せるドラマが今はほとんどない。ストーリー展開がきちんと練られたドラマを視聴者の多くが期待しているからだろう。

 そこで、日テレで土曜日9時から放送している「リモート」というドラマについてである。主演は深田恭子と堂本光一。堂本光一演じる氷室光三郎はその年で警視というかなりでたらめな設定である。その上、引きこもり。一切現場には出て行かず、パソコンを操り、電話を使って深田恭子演じる彩木くるみ巡査に指示を出し、事件を解決するというのが大まかな設定である。1回目の放送はそれなりに面白かった。

 ところが2回目の放送を見てがっかり。1回目が面白かったのは犯人からのメッセージをいろいろと読み解く推理の部分があったからだ。番組は未解決のまま2回目の放送へ。「ピエロ連続殺人事件」は終盤15分で怒涛のごとく解決してしまった。そもそも謎解きドラマの本質から大きく外れてしまっている。

 このドラマがダメドラマである点を列記したい。犯人からのメッセージの謎解きには熱心だが、実質的な捜査をしていない。殺人犯の動機や殺意をリアルに描くことをしていない。(殺人教唆の)犯人と殺害の実行犯をつなぐ線がない。説明されていない。ピエロの意味は何だったのか?。犯人を推理する部分が希薄。彩木くるみ巡査の記憶だけで、「ホテルのラウンジでパソコンを操作していた男がいた」と、それだけで犯人かい?。確かにそうだったが、あまりにもいい加減。やっている犯罪の巧妙さに比べると、あまりにも間抜けな犯人。まるで漫画だ。とりあえずこれで次回から見なくても良いドラマがピックアップできた。

(秀)