東京

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第736話 ■父からのメール(1)

 自分の余命が長くないと気がついてからというもの、父は一刻も早く病院を退院することだけを願い、最後の頼みをきくような形で、私たち家族もそれに同意するしかなかった。 「明日、暇か?。秋葉原に行きたいんで、車を出して欲しいんだが」   結局これ […]

第732話 ■Rooms

 「丸井百貨店」。その名前は田舎に住んでいたときからもコント赤信号の「丸井だぜ!」というネタとして知っていたが、実際にその姿に触れたのは上京して間もなくのことだった。それから私にとっての渋谷のイメージは丸井の赤い看板になってしまった。  会 […]

第716話 ■教科書

 学年も終わりの頃となり、思い出すに、この頃の教科書はだいぶ痛んでいた。4月に真新しい、輪ゴムで留められたその教科書を手にしたときの、そして最初に、そぉっと丁寧に折り目を付けた気持ちはどこに行ったのだろうか?。  ページの隅にはパラパラ漫画 […]

第704話 ■「お前の時計は今何時?」

 週末にとある技能検定試験を受けた。場所は御茶ノ水の某大学を借りてである。さすがに東京の大学はすごい。キャンパスがない。校舎はビルであるし、その表は即道路。明治大学はかつても面影なく、「Liberty Tower」というビルに姿を変えていて […]

第692話 ■通貨偽造の罪

 世の中、偽物で溢れている。牛もブランド品も、ついでにコラムニストも。つい先日も一万円の偽札騒ぎが起きたが、私はそれ以上に自販機を騙した千円札の偽造事件の方に注目したい。最近でも新聞報道によると、「東京都文京区で(2月)1日までに偽千円札1 […]

第670話 ■正月行事

 「セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロ、春の(これぞ)七草」。今日は、七草粥の日である。五・七・五にうまく折り込まれているために七草をそらんじることはできるが、実物を見たところで、名前を言い当てることなどできない […]

第667話 ■駅伝魂

 正月の「東京箱根間往復大学駅伝競走」は毎年恒例の行事であり、テレビ中継されているのも十分承知しているのだが、テレビの前でじっくりとまで見てしまうようなことはこれまでなかった。しかし、ビデオ予約の合間に目にしたシーンをきっかけに改めて見てみ […]

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