第1011話 ■がんばれ讃岐うどん

 外食の醍醐味はちょっとしたリッチ感にある。それは例え、行き先がガストであろうと、バーミヤンであろうと、はたまた近所の大衆食堂であろうと、そのリッチ感が味わえるからこそ外食は楽しい。

 さて、昨今の讃岐うどんブームである。やはり私はそばよりもうどんが好きだし、しかもだしは薄い方が好きだ。よってこの讃岐うどんの東京圏への進出はうれしい。そして近くの国道沿いに讃岐うどんのショップができた。おもてには「かけうどん100円」という看板とのぼりが華々しい。早速、週末に家族で出かけた。

 中に入ると思ったとおり、セルフサービス方式でお盆を持って、好きな具材などを選び、会計を済ませてから席に付くことになっている。100円というのは確かに間違いないが、麺が半玉でやくみはネギだけということになる。この場合のネギとは万能ネギだ。カレーうどんや肉うどん、温かいのや冷たいのやらバリエーションが12種類。それぞれに大・中・小とサイズがある。それにまた、好みの天ぷらを載せる。

 問題はその天ぷらだ。これまた10数種類あるのだが、このときその置き場は空。ひたすらカウンターの奥で揚げているのだがなかなかさばけない。席に座って食べている人よりも行列に並んでいる人のほうが多い。例えばこれが昼間の社員食堂だったら、駅のそば(うどん)屋だったら、間違いなく暴動が起きているだろう。天ぷらを一生懸命揚げている姿を見ていると、まあ、並んで待っているしかなかろうが、一人レジ番の店員だけが暇をこいていた。

 どうにか自分の番がまわって来た。本当はごぼう天うどんにしたかったのだが、揚げてそうもないし、これ以上待ちたくもないので、適当なものから選ぶことにしたが、ここでまたセルフ式の罠に陥った。目移りし、天ぷらを3種類選んだため、丼に天ぷらが入らなくなった。順次、天ぷらを入れながら食べていたら、うどんを食っているのか天ぷらを食っているのか分からなくなり、丼の中は崩れた衣の天カスだらけになってしまった。

 待たされたのは不満。ついでにセルフ方式の罠にも不満。ただ、かつての外食にはないほど安上がりだった。まあ、その分、リッチ感も希薄だったけど。う~ん。今度もまたこの店に行くか、と考えるとちょっと悩ましい。さておき、讃岐うどんは美味い。

(秀)