第1307話 ■ミニコーラ

 私が幼い頃、駄菓子屋でミニコーラというものが売られていた。地元の零細な飲料水メーカーが作っていたもののため、このミニコーラ自体は私の地元でしか販売されていなかったと思うが、同様なものが全国的にいくつも存在し、販売されていたのではなかろうか。従来からやっているのではなく、最近懐古ブームからやっている、ちょっとこざっぱりとした駄菓子屋というのがあるが、そんな店の冷蔵庫で、先日同様の商品を見つけて懐かしくなった。

 そのミニコーラは容量約100ミリリットル。本家のコーラの瓶を模し、それを一回り小さくした瓶の形をしている。ガラスは透明だった。これが私が保育園児のときに10円だった。中身であるが、色はもちろん本物と同じであるが、肝心の味は薬っぽく、安っぽい感じがした。コーラとは程遠い味。唯一の魅力はその安さのみか?。

 やがて自分で小遣いを元に駄菓子屋に通うようになった頃に、ミニコーラは15円に値上げされた。好んでいつもそれを飲むようなことはなく、普段は50円のスマックや40円のラムネを飲んで、お金がないが何かジュースが飲みたいときに妥協する形で飲んでいた。そしてそれから数年を掛けて20円、30円と値上げされていった。この30円までは覚えているが、その頃から次第に年齢的にも駄菓子屋から遠ざかったので、その後の状態は分からない。

(秀)