第766話 ■ラッキーカード

 ベイブレードブームは多少熱が冷めたものの、いまだ堅調で、新バージョンも近々リリースされるらしい。その煽りか、遊戯王のカードコレクションのブームはちょっと衰退気味か?。ミニ四駆やヨーヨーなど、かつてのブームの主役達が我が家の子供部屋の押入にはそれこそ地層の様になって眠っている。子供だから飽きるもの早いのだろうが、今親となってみると「邪魔だから捨てたい」と思う反面、「せっかくだから取っておこうか」、という気持ちも強い。

 これまでいろいろなおもちゃを手にしてそれを捨ててきた後悔が今頃になって出てきたので始末に悪い。お宝ブームの影響も有り、「そのうち高く売れるのでは?」と下衆な意識が働いてしまう。束になって箱に詰め込まれている遊戯王カードを見ると、かつてのライダースナックのカードを思い出す。

 そもそもライダースナックにカードがおまけに付くようになったのは、カルビーの親切心からで、栗本慎一郎のアイデアによるものらしい。しかもこのカードにはラッキーカードというものが仕込まれている。概して子供は当てものが好きだ。それにカードのコレクションという要素が付加された見事なコンビネーションである。単なる当たりくじや単なるカードだけでは不十分だったろう。

 カード狙いでスナックを大量に買ってそれを食べずに廃棄するなど、子供らしからぬ行動をよび、このライダースナックは社会批判の的にもなった。その彼らは単にカードが欲しいだけではなく、ラッキーカード狙いであったのも少なくなかろう。そのラッキーカードをカルビーに送れば、カードアルバムが貰えた。当選による限定プレミアの走りと言えよう。

 あいにく、私はこのラッキーカードもアルバムも手にすることがなかった。そこまではブームにはまり込まなかったようだ。やがてライダーの放送が終わると、続いてV3スナックが登場し、スナックも20円から15円へと値下げされた。スナックの販売は継続されたが、そのうちアルバムは郵便切手と引き替えで購入できるような形になった。顧客からのリクエストに応じたものだろう。しかし、その頃を境にスナックやカードのブームも衰退してしまった。子供達の射幸心が萎えてしまったためだと思う。

(秀)