第872話 ■水飲みバード

 それが本当に正しいその名称かどうかは分からないが、その動作と機能(?)から「水飲みバード」という呼び名で通じるだろう。大きさは20センチほど。基本的に本体の素材はガラス。上半身は鳥の姿で、下半身は丸い小さな電球状の形。その中に液体が入っていて、体の中心あたりを支点に足が生えている。バードの前方には水の入ったコップを置いて、一旦前後に揺らすと、まるで水を飲んでいるかのようにそのおもちゃのバードは体を揺らしてその動作を繰り返す。

 オスは青いボディにシルクハット、それに蝶ネクタイ。メスは赤いボディ、あいにく装飾品については失念。それがレストランのショーケースなんかで揺れていた。とても面白く、そして和む。今風に言えば、「癒し」グッズである。置いてあるコップは妙に安っぽいものばかりだった。まるで、何のこだわりもないかのように。逆にこんなコップにこだわるくらいだったら、そもそもこんなものをショーケースに置いたりしないだろう。

 日に焼けて、しかも動いていないバードをショーケースに見つけると、その店では時間が止まっているような気がする。ただ、今さらそんなものがショーケースに置いているような店には正直入りたくないけどね。

(秀)